キヤノンT80というしょぼいカメラのこと

カメラの歴史にはαショックなるものがあったそうだ。ミノルタα-7000によるオートフォーカスの実用化。その直後に発売されたキヤノンの初AF機T80は、性能差もありすっかり霞んでしまったという。これは僕が生まれた年の出来事。

実家には、すっかり使わなくなってしまったT80がある。僕自身がデジ一を買ったおよそ一年前、これを引っ張り出してみて何の知識もなく機種名を検索してみたら、上記のようなことを知った。

「失敗作」とまで呼ぶ人もいる(もしかしたら、いくらかの愛着をもって)。そんなカメラを、父は何故買ったのだろう。あまりこだわっていなかったのだろうか、と思った。

先日実家に帰って、僕のカメラを見せて少し話をした。当時、父もα-7000を探し回ったのだそうだ。しかしαの人気は大変なもので、どこへ行っても品切れ。仕方なくT80を買った。

そこにこの不細工な息子を撮ってやりたいという、新米の父親のはやる気持ちを読み取ることは、必ずしも自惚れとは言えまい。結果的にうちのT80は、それなりにこの家族を撮った。何だっていいのだ。