2009-09-01から1ヶ月間の記事一覧

奇書2冊目

返す刀で『ドグラ・マグラ』も読んでみた。何だか、多分解ってない部分が多いけど、面白かった。文章のテンポも好きだな。 背表紙には読んだ者は精神に異常をきたすとか書いてあるし、米倉斉加年の表紙もすごいことになってるし、いったいどんな不条理劇なん…

シューベルト

魔王ってすげえよな。王だぜ。悪いことして、王になれるんだぜ。兄貴とかおやっさんとか組長とか総統じゃなくてよ、王様だよ。政治的・象徴的君主。自分に賛成してくれる人だけを集めたコミュニティで威張っても、王とは言われないからな。有象無象をまるっ…

奇書

小栗虫太郎『黒死館殺人事件』が三大奇書のひとつだっていうんで読んだ。つまんなかった。 背表紙によれば「悪魔学と神秘科学の結晶」とのことで、確かに情報量はすごいが、僕がその辺に大して興味を持ってないということに尽きるけど、その情報量を押し付け…

アブイ!アブイ!

本当に今さらだけど、先週くらいから俄然鳥居みゆきが面白くなってきた。去年だか一昨年だかに注目され始めた時は、キチガイキャラのくせに妙にネタの辻褄が合っているところが何だかしっくり来なかったんだけど、改めて見たらそれが面白いんじゃんね。ある…

吸引力の変わらないただ一つの掃除機

普通の家でまず普通の掃除機を普段通りにかけてもらって、然る後に、例の吸引力の変わらないただ一つの掃除機で再び掃除してもらうと、なあんと、まだこおんなにゴミが残っていたんですって。さらにそのゴミを詳細に分析した結果、ダニが何万匹、花粉が何粒…

力への意志

一時期、○○力(りょく)って言葉が流行りましたね。最近はあまり聞かないですか?でも人間力とか、未だに使う人いますからね。その言葉でいったい何が伝わるのか、一度くらいは考えてみても罰は当たらないし、何かが伝わると勘違いしてしまうことが一番怖い…

boys be solid

安部公房『砂の女』を読んでみたが、これは今風に言えばソリッドシチュエーションサスペンスか。そういうジャンルの面白味の一つは、いかにシチュエーションの肝をついて効果的にソリッドな状態を生み出すか、というところにあるだろう。椅子に座っている人…

困るんだよ

自分が何ひとつうまくいっていない間に人に死なれると本当に困る。時間とは何か、ということの本尊がここにある。

夜には

もしも真っ暗な部屋で眠るのが怖かったら、ベッドに入る前にカーテンを少しだけ開けてごらん。部屋の灯りがついているうちは、窓の外には黒い夜しか見えないかもしれないけれど、窓を通る光は一方通行だから、夜以外の何ものも部屋の中には入って来られない…

不成立

俺は生物学的にもアイデンティティの上でも男だけど、別に男とつきあえるもんね。完全ヘテロセクシュアルだからスキンシップは遠慮するけど、それ以外は相手が女性の時とだいたい同じ気持ちでいられるもんね。そういう気持ちになったこともあるし。社会的に…

境目

「残念だが、我々はお前をしばり首の刑に処すことになった」老人は青年に向かって残念そうに宣言した。 青年は必死に言い募る。「そんな馬鹿な。僕がやったのでは無いと何度も言ったでしょう」 「島じゅうの賢い者たちと事件を調べて回り、話し合った結果だ…

通路

七人がけのシートの端に腰をかけていた。首筋の皮膚が熱い。床にいくつかの平行四辺形の陽光が落ち、そのうちの一つに自分の長い頭が影を成している。座っている僕から見れば列車は左に走っていて、椅子と床の振動や頭の後ろの窓の音は左から右へ流れてゆく…

頭蓋内世界内存在

集団の中で自他の立ち位置を見極めその集団が維持運営されることに(意識的/無意識的、積極 的/消極的、正方向/負方向を問わない)寄与する、という程度の意味の社会性がヒトが人であるための条件である、社会を成すのが人である、というような立 場から…

雑踏にて雑感

渋谷駅京王井の頭線ホームから山手線ホームに至る空中回廊は多くの場合鉄道から鉄道へ乗り継ぐ極めてリニアな運動に利用されることが多いわけだが、ここからかの有名な渋谷大交差点を飽かず眺めることができる。九本の交通信号機の から発せられる信号を二つ…