鴎外さーん

レポートもひと段落ついて、かねてから観たいと思ってた『ユメ十夜』を観てきた。まあ余計なこと考えずに観る分には面白いのでしょう。以下ネタバレ気味で感想。
漱石のをまんま下敷きにしたというよりは、インスパイアって感じなんだろう。原作はよく覚えてないけど、ここまでめちゃくちゃではなかった気がする。皆好き勝手やってて、話の筋が違うとかイメージと違うとか解釈が違うとか言ってもあんまり意味はなさそうだ。
ポイントは、「夢」独特のあの感じをどう出すか、だと思った。すごくシュールなストーリーをひとしきり流して、暗転して、寝てた人間が眼を覚ます、っていうシークエンスは夢オチであることの説明でしかないわけで。
気になったのは以下。
第一夜。『姑獲鳥の夏』の監督だけど、あれよりはこっちの方が僕はいい。話は部屋で進むんだけど、いきなり室内セットの外側が写る。映画でそれをやっちゃおしまいだろー、って感じで一瞬ぎょっとするんだが、夢の展開をメタな位置から見てる感覚を重ね合わせようとしたのかな。
第二夜。夢には音が無いとはよく言う(自分の夢はどうだろう?実はよくわからないのだ)から、手法についてはベタと言えばベタか。でもうじきつよしが字幕の直後に侍になった時「あ、これ夢だ」って思った。時空が自然にねじれてる感じが。あと全体の色を抑えて短刀(?)が赤いのも渋い。この作品が一番好きだな。
第三夜。『呪怨』の監督。夢がどうってより、この人は怖い撮り方が上手いね。地蔵の首がごろんってなるのが怖い。
第六夜。スズキ松尾+阿部定ヲ。舞台のテンポだね。神像を彫るという作業にトランスのダンスが結びつけられてて、なるほど両者はともに、ネ申降臨のための身体行為だ。だからというわけでもあるまいが、台詞が2ch調。ネットの場で展開される実際的な世界から浮遊した物語こそは現代の夢である、とか何とかいうことだろうか。
第十夜。そりゃないぜ、漫※画太郎。さすがに、引いたぜ。「ぶべら」って言わすな。